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ご相談内容

故人との対話 行方不明の夫を捜して

ルミさん(40代・仮名)は10歳下の彼と6年の恋愛を実らせ結婚し4年、東京を離れ幸せに暮らしていた。結婚してすぐに妊娠、生まれた息子さんは まだ3歳になったばかり。結婚式は挙げていない。ご主人の両親の反対に遭ったため家業の仕事を27歳で辞めてS県に移り住み、マジメな若い夫は慣れない仕事をこなし出勤に使うのは自転車。ルミさんは幸せに貧富は関係ないと言ってから最初の本題に入った。

聞くのが怖い!...複雑な心境の中で電話をしていらしたのだった。

定時には帰宅し子供との時間を楽しみしていた夫が、もう半月も帰らず 電話も通じない。ルミさんは、「夫の意思じゃない。事故なのか事件に巻き込まれたのか...向き合わないと」。警察にも捜索願いを出した...覚悟はできてると強くおっしゃって「生きていても、そうでなくても、夫の顔をもう一度この目で見たい」。最初のご依頼はその一点で ご主人の消息について知りたい、と。

霊視していると、普通車がすれ違うには狭い道が。そこは夜の闇が深く街灯もまばらな一本道が続く。センターラインが左に視え、右側には川が流れているが 暗闇に遮られて川幅が断定できない。車も人通りもない淋しそうな道が、やたらとクローズアップされるので伺ってみた。
「この光景にお心当たりはありますか?」と視えたモノすべてをお伝えすると、ルミさんは嗚咽して、「彼が4年も通い慣れてる道です。そこは何度も捜しに行ったけど何も見つからなかった。あの人は...もしかしたら、事件に巻き込まれたの?」。

事件ではない!と伝える声が頭の中に聞えてきた...霊聴。転落防止のフェンスが視えるのだが、おかしなことに歪んだ隙間が一ヶ所だけ浮いて視える。集中して霊視しているとより鮮明に...(老朽化?)ルミさんに伺うと、小さな隙間で大事故には至らないと言い切る。それを遮って告げるしかなかった。

私が視てたのは、ご主人の目線であり、その瞬間に何が起きたのか?ご主人が送ってきた映像という方が近かった。寒さでスピードを出し過ぎ、ゴンッと何かが車輪にぶつかり...飛ばされるように自転車ごと川に放り出され、気を失った。冷たい水のなか意識はない。見た目より流れが早い。ルミさんには「明日にはご主人との対面が適いますが、お姿が変られているので、お気持ちをしっかり持って!」とだけ。ご主人の体は、すこし下流の硬いパイプに(奇跡的にも) 引っ掛かった状態で留まっていた。自転車は流されている。季節のせいで水嵩が増しているため警察の簡易捜査では難しかったのだろう。
事件なら慎重な捜査をしていたはずだが、行方不明では形だけになってしまうのが現状なのかも。

翌日、ご主人の遺体は川の底で見つかった。変わり果てた姿を見てルミさんは心が壊れたと..葬儀を済ませると癒しを求めるようにお電話をくださった。「どうして分かったんですか?彼は苦しんだの?」と矢継ぎ早の質問に、「故人との対話」をしてみましょう!?となった。

泣き崩れるルミさんに「肉体は今生だけの借物...魂は、永遠だから!今ここにお呼びできるんです」と、わずかでも納得してお心を軽くしてもらえるよう、輪廻転生の話や何よりも「ご主人の魂」が語る真実へと話をつなげていく。ルミさん独りでは背負いきれない問題も発生していた。ご主人の両親との確執。義母から「あなたと結婚しなければ息子は命を落とさなかった」と葬儀の席で罵られ、挙句が、「孫は息子の忘れ形見だからウチで引き取る。あなたは再婚なさい!」とも言われたと。悲しみに上乗せされた問題勃発に途方に暮れていた。息子は立派に育てると言い放つも、自信がある訳じゃない。

ルミさんは「あなた?私はどうしたらいいの?いつも頼ってばかりだったね。あの子がいるからあなたを追う自由もないよ?どうしたら生きていけるのか教えてよ」と初めて自ら夫の魂に問いかけていく。

鑑定結果

ルミさんからのご依頼はご主人の生死に関する内容であり 普段ならお受けできないものでした..が。肉体の波動を失って魂の訴えが強くなったご主人の...まさに“魂の叫び”が 周波数を合わせて、既に着ていた稀なケースで、お受けしたものでした。
それを、逸早くルミさんにお伝えすることで、絶望の闇に光をそそぐ...その方法が「故人との対話」であり 半ば亡きご主人からの依頼とも言えました。

不慮の事故が起きてしまった原因は2つ。一つは、いつもの慣れた道で油断が生じたもの。もう一つは、フェンスの隙間に吸い込まれた形だが、何故そうなったのか!?
そこは障害物もない一直線の道にも関わらず以前から事故が多い“魔の場所”であったこと。家路へと急いてスピードを出すご主人の心に隙ができた一瞬に、得体の知れないモノに引っ張られダイブするように一気に足を取られた...。

思考を停止させた瞬時のことで、次いで意識を喪失している間に肉体と幽体が離れてしまった結果が、この世の“死”となる。それをどれほど説明したところで悲しみが癒えるはずもないが、徐々に効果が沁みていくのも事実であるため、ルミさんの魂に届くよう努めてお話させていただいた。

見える・聞える・触れるなどの五感で存在を確かめることは...肉体の消滅と同時に不可能となるが、それは ご主人が消えていなくなったのとは違う。現に、魂が、訴えかけていた。心当たりはあるはずだと強調する訴えに沿って「当日夜の8時頃に お部屋の中で異変はありませんでしたか?」と尋ねた。

ルミさんは「そう言えば」と前置きをして、玄関のドアがガタゴト音を立てたけど古いアパートだからと気に止めず、次には3歳の息子さんが突然泣き出し「パパ」と叫んで困ったこと、さらにパソコンが真っ白にフリーズしてしまい故障したと思い閉じたとのこと。一見どれも珍事ではないが同時刻にそれが起きたことが、俗に言う「お報せ」でありご主人が放ったシグナル。平和な日々の中では誰もが見落とし勝ちな突発的で些細なこと...だが、その現象を目の当たりにすることで、残された者の心が後々救われることを “逝く魂” は知っている。
「肉体が滅しただけで、いつも見守っている!」ことへの証明届けみたいなもの。
声帯は使えなくなったがシグナルはいつでも出せると伝えたい。それを知って欲しくて全霊で送ってくる愛のカタチ。


「今 申し上げたことはご主人のメッセージです。まず先にこれを伝えてとおっしゃって、ルミさんの隣にいます」 と伝えた。微かに右隣が温かい...とルミさんの声に気の力が宿り始めていた。落ち着きを取り戻していく。五感は肉体の特徴だが、肉体には幾層ものエネルギー体が取り巻いて、そこにこそ魂が存在していると。そして以心伝心の会話なら成立しますとお伝えした。消滅したのではないと繰り返し添えて。すべては、故人となったご主人の導きで進行していった。私は通訳の務めを果たすだけ。

四十九日までは今生で縁を結んだ人たちへの挨拶回りで故人も多忙な期間(?)。そして成仏を急かされる事もないフリータイムみたいな...。但し、肉体での感覚が強く残っているため 霊体での動きに馴れない不自由さがあるもののワープは可能だ。ルミさんが強く念じたり 語りかけるだけでよい。あとは、気配に敏感になっていれば、第7感が作動する。双方共に訓練は要るものの難しいことではない。
四十九日(七の七日)を経たら一旦は成仏の儀式で上がるが、時空なき世界から“愛する人を守る”ための帰還は難しくはない。視えない世界のことを論理的にお伝えしていった。

「こう話さないと妻は納得しない」という頭の中に響く声は、念押すように告げた。

「あの店の作りたてのスコーンとブルーベリージャムは美味しかったね!?」..?...そのまま伝えた。ルミさんは「その言い方、あの人にソックリ!」と泣き笑いの声になった。自動口述へと切り替わり、次々と遣り取りが行われ、完全に霊媒となっていったワタシ。ここまで来ると理論はもう必要ない。2人にしか解らない内容や2人だけの言葉が行き交い、それは軽快に弾み、会話として成立していた。

これによって魂の存在をルミさんは、真実として受け入れる受け皿を持った。危機が迫った時はもちろんだが苦難に出遭った時もすべて、見守ってくれる存在の力で直感は鋭くなり、たどるべき道が自ずと分かり選択も容易くなる。根本でそれを「信頼」していられたなら、不安は無用の賜物となるのだが。

もしかしたら意外と難しい課題になるのかもしれない。人は矛盾のなかで生き、その環境を当然としているために、シンプルなことを複雑にしてしまう癖がついている。これらのことも一応お伝えした。とかく不安に陥り易いのが頭脳処理に長けたオトナの人間。3歳の息子さんは疑うこと知らずで、時折、一点を見つめ「パパ~」と呼んで笑っているという。無垢な心には、ちゃんと見えている。

メッセージの締め括りは「子供だけは手放しちゃダメ。心配しないで、タンスの引き出しを開けて!保険..内緒で入っておいたから困らないよ」と意外にも現実的な内容に、言ったはずの私が...唖然。でもルミさんに取っては...そう!生きていくのに大切な 切実な問題だった。葬儀の時間を見守っていたご主人だからこそ、どうしても伝えたい重要なことの一つだと知った。それは人間界で生きていくための核心に迫ったもの。「ありがとう」と嗚咽する妻の想いを見つめる 亡き夫の温もりが視えた。

住む世界が異なっても、無二の魂は、境界線を凌駕しても触れ合えるとお伝えして この日は終えた。


【 比翼の鳥 連理の枝 】

その後

異なる2種の鑑定を徹して行い10日程した頃、ふたたびご依頼を頂いた。落ち着いてきたと言うルミさんだが、愛する人を亡くした悲しみは易々と超えられるものではない...それは承知していた。
「息子が毎日、パパが引越したほうがいいって言ってるよ」と繰り返し言ってくると。母親のルミさんには そうする理由がサッパリ分からない。ご主人の魂を呼んで欲しいというものだった。

息子さんがメッセンジャーの役目を担ったようだが、まだ3歳。素直に「伝える」だけとなるのも当然。直感力と、降りた言葉の解釈にも自信が持てないルミさんは、自分の言葉が届いてるのかも知りたい。
ご主人の魂が、別次元で存在していることは認めていても...。思い出のつまった部屋を引き払うまでには、感情の整理がついていない。引越したくないのが本音だが「引越したほうががいいって、パパが言ってるよ」と真顔で繰り返す息子。

交霊となる故人対話へと入ると、すぐに返答を得た。「引越のことは彼女のため!引きこもった生活をやめて、東京に戻って。心配しないで。実家の離れの部屋を使えば干渉されないよ」というもの。故人との対話は生前のような流暢さに欠けるが、単刀直入な語り口となり単語と動詞が並ぶ。そのまま伝えると案の定で、ルミさんは「絶対に嫌よっ!私があなたを殺したって怨まれてるのに?」と激しい口調になった。
すぐに次のメッセージが着た。「今は2人に会いたがってる。僕が愛した人と孫だから面倒をみたいけど嫌われたと思い言い出せないだけ。この土地には頼れる人もいないから心配なんだ。
うちの親がキミに尽くすから。そうさせると約束する。近々連絡がくるから引越して欲しい」.....

概ねの内容はこんな感じで、合い間にルミさんの反撃もあり、一方的に伝えるというよりも「会話」となった。引越すか否かは急には決められないが、ご主人の愛情は充分に伝わっていた。

その甲斐あって母子は夫の実家の離れの部屋に身を寄せた。四十九日が済んだ頃となった。義父母が来て説得を試みた、が、ルミさんを動かしたのは...亡き夫の“想い”だった。とはいえ4年間の蜜月を過ごした部屋を去るときは、身を切るような心の痛みを経験したと...東京へ戻ってからお電話を頂いた。

その頃になると、亡夫の気配を身近に感じたり、「会いたい」と叫べば半透明状態で見えたりと、不思議な現象をキャッチできるようになっていた。会話も試みた。途切れたり繋がったりで、まるで英語を聞いているようだが、感触が確かにあるのよ!と、おっしゃった。ルミさんは「霊語」と言ったが。

夫の家族は、言葉にたがわぬ優しさを提供してくれ...この点でも亡夫は約束を守って、ルミさんを常に見守っている感が漂う。食事は義妹が用意してくれる。子供の幼稚園の送迎は姑さんが喜んでしていた。生活費は婚家がみてくれて...と心病むことがなかった分だけ今度は仕事をしてみたくなり、結婚前の仕事に就いてみようかと...気力は驚異的スピードで回復していた。そのパワーの源が存在する。


うたた寝をしていると「風邪ひくよ」と...ささやく声は、ご主人のものだとおっしゃった。「あっ!うっかり寝ちゃった。ありがとう」と言うと、「気をつけてな」と応答がある..のだと笑う。
8月、新盆の頃となっていた。家族3人で撮った写真の、笑顔の夫に話しかけることが朝の習慣となり、息子さんも真似して「パパァおはよう」と言い、「今日も遊んでね」と3歳児のはしゃぐ声。

肉体を亡くしたご主人が、肉体を病みそうな按配の妻を案じて、付きっきりで看ていたような。この世もあの世も境がなければ、そんな構図が成り立つ。2人にとってはおそらく...鎖国を破ってみたレベルのコト。国境ならぬ界境を越えて手を繋ぎ、互いの得意なことに専心すれば間違いなし!なのだろう。
ルミさんはご主人の言葉に従って、厚意の保険金はチャッカリ貯金したと最後におっしゃった。

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