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最近の記事


本当にあった怖い話
まさか ! の まさかな話なんだけど、これ実話。
遥か昔のことなので、思い出しながら・・・できるだけ正確に記します。
それは、私が子供のころ通っていた 歯医者さんから始まる。
とても腕の良い歯医者さんで、当時は予約制ではなかったため混み合い、
まさしく行列のできるデンタル・クリニックだった。
そこで、この歯医者さんは、近所へ丸ごと お引越しをした。
土地を買取り、クリニック兼自宅の瀟洒な家を建てて
待合室も広々として快適になった。
相変わらずの繁盛振りで、評判のよい院長先生 !
・・・と、ここまでは良かった。
引っ越してから、半年ほど経った頃だろうか ? その院長が突然倒れた。
緊急入院の速報にも、「過労気味だったのかなぁ~? 」
狭い町では、世間話的に…風のように噂はささやかれる…噂なんて所詮ノリは軽い。
少し休養を取れば、「なにまた、すぐに元通りさ ! 」 てな具合で。
ところが、院長が退院して仕事に復帰する日は来なかった。
明け方倒れて救急車で搬送され、3日目には帰らぬ人となり、そこで初めて
「えっ~! まさか…」 、次には 皆の口がこわばるように閉ざされた。
町内の大人たちが皆・・険しい顔になったことを記憶している。
不穏な空気が流れていた。人の死を悼むのとは違うような…異様なもの。
お通夜に続き お葬式を終えて、しばらくしてから、
「なんかぁ~みんな怖い顔してる気がする。どうして ? 」 母に尋ねてみた。
子供心にも、感じるものがある。それは…町中が緊迫している ! ?
いつもなら おもしろいことを言って笑わせてくれる叔母の顔さえ、
蝋人形みたいというか、放心状態なのも怖かった。
「そうだね~…もう話してもいい年かもしれないねぇ・・」 母は常に冷静だ。
もの憂げに語る母の町内史を、学校の日本史よりも興味津々で聴いてた。
身近な(?) ! しかも珍しい話なので、こちらは嫌でも引き寄せられていく。
それは・・・・この歯医者さんが
お引越しをした土地に その昔あった古井戸の話から 始まっていく。
時代は…終戦直後の混乱期にまで、遡ることに。
かつてその土地には、平屋建ての小さな家があり、庭には
家とは不釣合いなほど、大きな井戸があった。
新婚の息子夫婦と姑さんの家族3人がそこに住んでいた。
暮らしぶりは楽とは言えなくても、傍目には普通の家庭に見えてたらしい。
姑さんは、「できたお嫁さんで…」 と語っていたから家族仲は誰も疑わない。
女手ひとつで育てた息子に 器量良しの嫁さんという絵に描いたような家族図。
母一人子一人の貧しい家庭に、ようやく嫁さんが来てくれたと姑さんは
「これでやっと肩の荷が下ろせて、お蔭さんでね~」 と隣近所に話していた。
冬のある日、その姑さんが風邪を引いた。
現代のようにドラッグストアで 「薬買ってくるわ」 なんて時代ではない。
夜通し咳こみ、狭い家の中じゃ新婚夫婦も寝不足になったであろうか。
そんな日々が続き、薬を買うお金もなかったのか…母親の咳は止まらない。
息子は 勤務先がたまたま薬品関係だったため、どんな薬も器用に調達してきた。
かねてから 母想いの息子で有名だった。
「母さん、大丈夫なの ? これ効くから…ご飯食べたらすぐ飲んで寝るんだよ ! 」
「苦労ばかりしてきたんだから、そろそろ楽になりなよ ! 」 と言い残して
息子は会社へ出かけた。母親の手の中に、1包の薬を渡して。
母は 「高価だろね、あぁ勿体ない」 と、着たきり雀の着物の胸元にしまいこんだ。
昼食を女2人でとっていると、嫁さんの咳がひどいことに気付いた母親は、
「あたしより辛そうだよ。うつしちゃったかね ? いい薬があるから飲んだらいいよ」
今朝方 息子から渡された一服の粉薬を差しだし、遠慮する嫁に飲ませた。
途端に…嫁が、目の前でもがき苦しみ出して、遂にはピクとも動かなくなった。
恐ろしい形相で、目を剝いて 倒れこんだ。
「・・・・・・・・・」
薬品の知識などない母親でも、事態は呑み込めたのだろう…
嫁の体の上に崩れては 重なり合うように 気を失い倒れこんでしまった。
既に…肺炎を起こしていた老体から 生気が徐々に抜けていく。
帰宅した息子は玄関の引戸を開けて、妻が息絶えているのを見た。
愕然とした頭で (こんなはずじゃ…なんでだっ?) 悪魔の計画は息子の心を殴打した。
すぐ側には母親が 混沌とした意識のなか、 まだ息があったのだが…放置した。
すべてを察した息子は、着のみ着のままで 家を飛び出して…..忽然と消えた。
暗くなっても明りのつかない隣家を気にして、「なにかあったのか ! ? 」 と
隣人が尋ねて来た時、母親にはまだ息がある ! と慌てふためき医者を呼び、
警察も来て、事件が発覚した。
母親が風邪薬だと信じて 嫁が一息に飲んだもの・・・それは、青酸カリだった。
しかし、容疑者たる息子の姿はどこにもなく、しばらくして捜索は打ち切られた。
遠くに逃げたのだろう ! と噂は飛び交うが…事実は闇の中。忘れられていった。
母親も結局は助からずじまいで、噂だけが一人歩きしたが、
ここの家に住む者は 一日にして 誰も居なくなってしまった。
何故こんな事になったのか ? と訝しがる者も次第にいなくなり、
後味の悪い事件は 誰の口にも上ることもなくなって、
息子の消息は完全に途絶えた。
廃屋状態に陥った古い家は、しばらく放置され…
その後、何年も経ってから 遠方に親戚でもあったのか・・・とにかく
取り壊されることになった。
土地なら処分(売却)できるだろうという事で、庭にある干乾びた古井戸も
きれいサッパリ壊され、埋め立てられることに。
そして作業は始まった。
グイグイ進んでいく…はずだった・・のが、
井戸の解体作業中に 黄泉還り現象が・・。警察を呼んでの大騒ぎとなった。
作業中の1人が、「なんかあるっ! 」 と騒ぎ出し・・・大勢が見守るなか
引き上げてみたら、白骨化した人間の頭部だった。
こうなると周辺の家々を巻き込んでの、怖いもの見たさの火事場騒ぎさながら。
普通の取り壊しではなくなり警察の監視下のもと、丁重に壊されていく (?)
その中で次々と、陽の当たる場所へ晒されていく骨は
…とうとう人間1人分に達した。
近隣に昔から住んでいる人達は、それが なんであるか ? !
誰のモノであるか ? …もう解かりきっていたが、皆 口にするのも怖い。
逃亡していると思っていた男が、自ら命を絶って いつも傍に居たことになる。
しかも、そこは、暗い古井戸の中。
かつては、その井戸の水を 飲み水としても使っていた。
近隣の人たちは、夏場はその井戸を借りてスイカを冷やしていたらしい。
白骨化した遺体が、その家の息子だと、警察が断定した理由は、
ズボンのベルトと 男の宝物だった懐中時計があったのを決め手にしたという。
捜査が終えて更地にしたものの、忌まわしい事件の跡地は、
「売り出し中」 のささやかな看板も虚しく、そのまま長いこと放置された。
土地には雑草が茂り、地価は タダ同然になっていったようだ。
ながい長い歳月を経ると、悪い噂でも立っていない限り 妙に安堵してしまう。
10年ひと昔と言うが、去り行く時間の中で浄化されたと思ったのか、
名医の院長は科学に傾倒する人でもあり、とうとうその土地に手を出してしまった。
院長は命を落とし、外観的にはゴージャスに見える院長宅は 何故か ?
奥さんの意思とかで、建物は壊されて、残された家族は遠くへ引っ越してしまった。
そこの土地は、今、飲食店が建っているが・・とはいえ開店休業状態だが。
その前にも、さまざまなお店や家があったが、1年もった試しがない。
店なら、確実に潰れる。家なら・・・?
( ここに住んだ人は ココの地域から出て行ってしまうので情報がない。跡形も! )
口止めされて夜逃げでもするように、いつの間にか…居なくなる。
大人になった私が好奇心で、故郷の、その現場を観に行った時は寿司屋さんだった。
オープンして間もないと言う話だったが、ひどく錆びれて見えたのは記憶にある。
下落する地価に引き寄せられて、あらゆる店が建ち、半年待たずに閉店・・・。
呪われた土地と呼ぶべきか、それとも
家族3人の霊魂が 「肉体を失っても、ここは自分達の土地だ」 と主張しているのか
いずれにしても、ここもまた、この世の者が使ってはいけない場所なのだ。
2011/09/24